ひとみはそういうと、今度はさっきからグラスを持ったまま体を固くしている本谷に向き直る。
「ちょっと、本谷ちゃん、新人だからって遠慮しなくていいのよ? もう、そんな怖いオジサンが横にいるからよねぇ」
ひとみの科白に坂口に何だかだとかまわれていた良太は、はっと顔を上げてほぼ向かいに並んで座っている工藤と本谷に気づいた。
うっわー、これって、まずいっつうか、何っつうか、どうしよ!
ひとみの言ったように、本谷が固くなっているのが、工藤が怖いからだったらよかったものの、真逆の状況なのに、 良太は一人焦った。
や、別に俺が焦らなくてもいいんだけどさ。
なんか、本人たち以外にあのこと知ってるのは俺だけだし。
や、だからって俺がどうの考えることもないんだけどさ。
なんか、本谷、嘘の付けないやつっぽいし。
ってか、そりゃ工藤が本谷のこと気に入ってもらっちゃ困るんだけど……。
もう一度本谷を見ると、なんだか本当に緊張してるようだった。
「あの……」
「どうだ、今度の役は……」
本谷が意を決したように隣の工藤に話しかけたのと同時に、工藤が本谷に話しかけた。
「あっ……はい、やっぱりまだてんで、ヘタクソで、皆さんにご迷惑かけてばっかで…」
本谷の声は緊張しているからか、やけに大きく聞こえた。
良太がえっと思ったのは、滅多にないことだが、珍しく工藤が罵倒するでもなく誰かに声をかけたからだ。
良太は複雑な面持ちで二人を見た。
嫉妬が混じっていないはずもない。
実際、妙に工藤の表情が柔らかくないか?
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